腎臓結石の治療-手術なしの治療法-

腎臓結石の治療-手術なしの治療法-

1980年にドイツのミュンヘンで発表された,驚くべき新治療法は体外衝撃波砕石術と呼ばれています。


この方法では強いエネルギーの衝撃波を使って,体に傷をつけずに石を砕きます。


ぬるま湯を半分満たしたステンレス製の水槽に患者の体をつけます。

体の位置を注意深く調節して,水中で電気火花によって発生された衝撃波の焦点に腎臓が来るようにします。

衝撃波は柔らかい人体組織を簡単に通り抜けるため,途中でエネルギーを失うことなく結石に到達します。

石が粉々になるまで衝撃波を繰り返し当てます。その後たいていの患者は石の破片を楽に排出することができます。


1990年までに,ESWLは結石除去手術全体の約8割を占めるようになりました。

オーストラリアン・ファミリー・フィジシャン誌は昨年,この技術が発表されて以来「世界中で300万以上の患者がこの方法で治療を受けており,衝撃波を発生して腎臓結石を砕く様々な装置は1,100台以上ある」と伝えています。


ESWLは腎臓の周囲に外傷を与えることがありますが,オーストラリアン・ファミリー・フィジシャン誌は次のように説明しています。

「脾臓,肝臓,膵臓,腸など,隣接した器官に損傷を与えることは滅多にない。
腎臓の外傷は短期間で治り,患者にはそれほどの害がないため,簡単に耐えることができる。」

子供の手術も成功しています。このオーストラリアの雑誌は結論として,
「10年間ESWLを行なってみて,この治療法は極めて安全性が高いことが分かった」と述べています。


実際,この治療法はとても効果的なため,昨年の「コンの最新療法」はこう説明しています。
「(ESWL)は,症状を伴う結石を簡単に取り除くことができ,また極めて合併症が少ないため,患者も医師も尿路結石の治療にそれほど神経を使わなくてもすむようになった」。

腎臓結石の治療-新しい治療法-

腎臓結石の治療-新しい治療法-

1980年ごろまで,自然に排出されない腎臓結石を取り除くためには大手術が必要でした。

腎臓や尿路に詰まっている石に到達するために,脇腹を約30a切開するという痛みの伴う手術が行なわれていました。


手術後の快復には普通,2週間入院し,その後約2か月間自宅で静養することが必要でした。

しかし「コンの最新療法(1989年)」という医学の教科書は,「近年の技術的進歩によって,開腹摘出手術が必要なことは滅多になくなった」と述べています。


現在では,摘出の難しい石でも,ある技術によって外科手術を最小限に抑えることができます。

また,最近もっと広く用いられている技術に体外衝撃波砕石術(ESWL)と呼ばれるものがありますが,
この方法では外科手術は全く必要ありません。

「コンの最新療法」は,このような医療面での新たな技術革新について触れ,大手術を行なって「除去することが必要なのは,おそらく[腎臓結石]全体のわずか1%であろう」と述べています。

 

 

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